JUNQUO的博客

「もっと知性にやう゛ぁんを」を座右の銘にするにむらじゅんこのヨロズ帳
from 巴里・上海・東京。
お仕事サイトはhttp://junquonimura.eco.to
<< クスクス三色団子 | main | 荒川電波ハウス(天然)発見 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - | pookmark |
Autoportrait de Zao Wou-Ki
JUGEMテーマ:読書




Zao Wou-Ki, Autoportrait, Edition Fayard, 2008

趙無極著『オートポートレ(自伝)』を読了。

 

 

20世紀前半にフランスに渡った画家で、世界的な大活躍をした中国人画家といえば、やっぱり、ザオ・ウーキー。ザオさんの自伝が出たので早速取り寄せてみた。

 

1921年に北京で長男として生まれたザオさん。ザオさんの人生は、ほかの中国人に比べると、実にラッキーだ。父親は金持ちの銀行家。今までに一度もお金に困ることなく暮らし、文化大革命で同僚・両親・家族たちが路上で三角帽子を被って「批判」されたり、牢獄に入ったり、下放させられたりしていたのに、ザオさんはその時、フランスばかりではなく、ロスなどの海外で展覧会を催したり、香港の趙美人女優のMayと再婚したり、ポルシェに乗り回したり……。

 ザオさんは実に楽天家だ。そして、文章を読んでいる限りは、なかなか温和な普通の人に思える。

 




以下、ひっかかった箇所の抜書きとメモ
 

 

 

(ザオさん、1948年に始めてパリにやってくる。妻の謝景藍と一緒に)。

私の妻がカルチエ・ラタンに行こうという。私は自分がどこにいるかわからず、頭を左右に振った。

「カルティエ・ラタンって、モンパルナスの近くなのかい?」

 私は「モンパルナス」という言葉は知っていた。というのも、そこがアーティストの街であると聞いたから、そこに住みたかったのだ。モンパルナス以外のところに住む気はさらさらなかった。タクシーの運転手は、学生も多いよといいながら連れていってくれた。私はホテルを探した。そのホテルは一泊6フランで、当時の私にしては高かった。それで三日後にホテルを変えた。私は「グランドショミエール絵画塾」のことを知っていた。中国の雑誌によくこの名が登場していたからだ。それで、グランドショミエールどおりの近くにある通り「Delambre通り」のホテルに移った。シャワーがついているいい部屋だった。そこに私はかなりの間住んでいた。そして、その後もモンパルナスを離れることはなかった。(p.22

 

 

当時の中国でも、モンパルナスは「蒙帕那斯」とか「蒙巴那斯」とかいわれ、徐志摩の小説《巴黎的鱗爪》の舞台としても登場する。

 

 

フランスにやってきたばかりの時、私は「中国人画家」というレッテルを貼られたくなかった。私は長きに渡って中国絵画の技術を、とりわけ墨の技術を習得していた。それは私にとってたやすいことだったので、この特権を前面に出そうとは思わなかったのだ。(p.69

 


 ↑

でもこんな写真撮っているよね・・・。ザオさんは「シノワズリ」という言葉が大嫌いだったようです。
 


© Adelmann/Zao Wou-ki(1970)


 

1941年に私は重慶でヴァディム・エリセフに会った。彼はフランス大使館の文化アタシェだった。46年に彼がチェルヌスキ美術館で、「中国現代絵画展」を催し、1945年に描かれた21枚の油絵と9枚のデッサンが展示されたが、これはパリに住む中国人画家たち、中国人アーティスト協会のメンバーたちの間で顰蹙を買ったものだった。あの作品は今はどうなったであろうか。(p.96

 

調べてみると、エリセフの展示は100点以上に及ぶ。中国人アーティスト協会の作品も展示されていたようだが、ザオさんの記憶、大丈夫かな。

 

 

 

 (フランスに到着して)最初の数年は、私は言葉の問題で中国人と交流をしていた。現在はもう、当時の中国人の友人との交流を保っていない。パリの小さな中国人アーティストのコミュニティーには、画家や彫刻家もおり、私の人生からは消え去っていった。当時は。芸術的な生き方について情報などを交換していたわけであった。このようにして私はグランドショミエール画塾の噂を聞き、Otto Frieszの授業に規則的に出た。(p.75

 

中国人の友人とは、Sanyu(常玉)のことか。実際、ザオ夫妻がやってきたのは、常玉の近くだった。

常玉は、コキュされたザオさんの元妻の謝景藍(ららん)と一生友人だった。謝景藍は彼女自身もアーティストで、のちにMarcel Vam Thienen (マルセル・ヴァン・ティーナン)と結婚してLalan Van Thienenになっている。ラランは音楽、ダンス、絵画となんでも手掛けたマルチアーティストで、1972年のクリス・マルケルの映画「vive la baleine」の音楽を手掛けている。

 

| にむらじゅんこ | シノワ | 16:09 | comments(4) | trackbacks(11) | pookmark |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 16:09 | - | - | pookmark |
ざおさんの絵もさることながら
漢字がかっこよくてしびれる。無極。
ザオ・無極
| (・Θ・) | 2009/10/17 6:09 PM |
ザオ・ウーキー、まだ存命だったんですね。
自分は抽象表現主義(フランスだとアンフォルメルなのかな)の画家と捉えていますが、どう位置づけられてるんでしょう。中国では無視されてるんだろうな。と思っていましたが、まえに広州に行ったとき聞いたら、けっこう有名だったので驚いたことがあります。

同じくらいの時期に、CoBrA に属していたウォレス・ティンが中国を脱出していますが、調べてみたらこの画家も存命でした。
| tomotubby | 2009/10/17 6:11 PM |
(・Θ・) 先生、お久しぶりです。
無極は、たしかにかっこいいですね。意味は、よくわかんないけど、「中道」ってこと?
70年代、ウィスキーでアル中っぽくなっていて、
「ザオ・ウィスキー」と呼ばれていたようです。

| junq | 2009/10/17 6:42 PM |
Tomotubby さん、最近蛸にこっているようで、なによりです。私は築地に住んでいたときに、となりが蛸工場でしたよ。蛸を茹でていました。今、マンションかなんかになってしまったけど。6丁目でした。

ウォレス・ティンの作品が、最近ebayとかで安めで出ていて「ほしいなーほいいなー」って思っていました。しかし、みんな長生きですね! 

私はザオさんの画のいいところが正直、よくわかんないんです。第一、ほしくないし。
東洋人が抽象画やったら、こんなになりましたー・、としか、いまのところみえないんです。 修行が足りぬのでしょうか。
| junq | 2009/10/17 6:49 PM |









http://junquonimura.jugem.jp/trackback/152
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/17 6:40 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/17 9:52 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/17 9:59 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/18 6:42 AM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/18 12:09 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/18 10:06 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/19 2:12 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/19 10:46 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/21 4:39 AM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/21 3:40 PM |
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2009/10/22 4:21 PM |
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< May 2018 >>
+ SPONSORED LINKS
+ RECOMMEND
クスクスの謎―人と人をつなげる粒パスタの魅力 (平凡社新書)
クスクスの謎―人と人をつなげる粒パスタの魅力 (平凡社新書) (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ
マグレブ発、現在は「フランスの国民食」となったクスクス。イタリア、ポルトガル、カーボヴェルデ、ブラジル、セネガル、マリ....etc. クスクスは国境を越えた魔法のごはんです。
+ RECOMMEND
かわいいモロッコ―雑貨と暮らし
かわいいモロッコ―雑貨と暮らし (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ
女子のための初のモロッコ入門。可愛いだけじゃなくて、不思議なモロッコの扉を押しあけてください。
+ RECOMMEND
手わざが光るモロッコ暮らし (世界の「あたり前の家」 2)
手わざが光るモロッコ暮らし (世界の「あたり前の家」 2) (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ
モロッコのおうちの中って、どんな感じ? この本、パリとマラケシュのセレクトショップに50冊買い上げられました。
+ RECOMMEND
ふだん着のパリ住まい (世界の「あたり前の家」 1)
ふだん着のパリ住まい (世界の「あたり前の家」 1) (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ
パリジャン・パリジェンヌたちの今どきのお部屋って?
+ RECOMMEND
Barbapoux
Barbapoux (JUGEMレビュー »)
ドラジビュス
パリで、にむらが、プロデュースを手がけたCDです。
+ RECOMMEND
フレンチ上海
フレンチ上海 (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ, 菊地 和男
パリが上海に恋してた!
上海の旧フランス租界(1846-1943)の物語。
+ RECOMMEND
おいしいフランス語
おいしいフランス語 (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ, Hamiru Aqui, ハミル アキ
食いしん坊のための仏語
+ RECOMMEND
+ RECOMMEND
フランス語で綴るグリーティングカード
フランス語で綴るグリーティングカード (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ
もうすぐ暑中見舞いの季節だから
+ RECOMMEND
しぐさで伝えるフランス語
しぐさで伝えるフランス語 (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ, ハミル・アキ
フランス語のジェスチャーは、英語圏のジェスチャーと違う…と実感してかいた一冊。
+ RECOMMEND
Avec ma maman―子どもと行くパリの旅案内
Avec ma maman―子どもと行くパリの旅案内 (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ
表紙をかいてくれた友人、ナタリー・レテ一家をがソトコト8月号に紹介しました
+ RECOMMEND
「ねこ式」イタリア語会話
「ねこ式」イタリア語会話 (JUGEMレビュー »)
にむら じゅんこ, ハミルアキ
ねこと学ぶ。我が家のミーはイタリア語を解します
+ RECOMMEND
パリで出会ったエスニック料理
パリで出会ったエスニック料理 (JUGEMレビュー »)
浅野 光代,にむら じゅんこ
『わたしがパリ案内を頼む唯一の日本人・にむらじゅんこによるエスニック大全!』と鹿島先生からリコメンされました。
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT COMMENTS
+ RECENT TRACKBACK
+ CATEGORIES
+ ARCHIVES
+ にむらじゅんこのお仕事
http://junquonimura.eco.to
+ blogpeople
+ MOBILE
qrcode
+ LINKS
+ PROFILE