JUNQUO的博客

「もっと知性にやう゛ぁんを」を座右の銘にするにむらじゅんこのヨロズ帳
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ロバート・フランクとサンユー

(c)Robert Frank

 ロバート・フランクと常玉との出会いは、世界のアートの中心がパリからNYへと移った第二次世界大戦直後の1947年、または48年のようです。常玉は、どうやらニューヨークで2年を過ごしているようです。このときの常玉のルームメイトがが、写真家のロバート・フランクでした。

 ロバート・フランクは、裕福なユダヤ商人の家系に生まれています。写真家として1946年にスイスからアメリカに移民し、常玉と出会った頃は、アレクセイ・ブロドビッチに雇われて『ハーパース・バザー』誌のフォトグラファーとして活躍していた頃でした(実はこのロバート・フランクに常玉を仲介したのは、常玉の手紙から判断すると、どうやら、アーヴィン・ブルーマンフィールド のようです)。かくして、常玉は、フランクとイーストサイドの11番街53番のロフトに転がりこんで奇妙な二人の共同生活が始まりました。

ロバート・フランクは、常玉のために、マンハッタンのギャラリー(Passadoit Gallery)にて、常玉の個展を企画しています。しかしながら、個展では常玉の絵は売れず、常玉はフランクにすべての油絵を「アパルトマン代だ」と残してパリに帰ります。
 23歳も歳が離れた常玉と、ロバート・フランク。異なる文化背景で育ってきて、世代も違う二人ですが、「お互いに惹かれあうものがあった」とフランクはいいます。フランクは、常玉という人間の中に「中国的な、しかし、彼だけの個性的な、何か英知のようなもの」を見出していたのです。以降、フランクはフランスに立ち寄るたびに、どんなに忙しくても、常玉に会いに行く時間だけは惜しみませんでした。モンパルナスの常玉の家をトントンとノックして前触れもなく、ひょこんと現れるロバート・フランクに常玉は「Qu’est-ce que tu fais là ?!(君、そこで何やっているんだ?)」とふざけながら答えるのが常だったようです。

 常玉の死後、ロバート・フランクは、2000年に『Sanyu』というタイトルの映画を製作しています。『Sanyu』は、フランクが手持ちのビデオで撮った27分の常玉へのレクイエムです。映画は、サビリエール通りの常玉のかつてのアトリエ兼アパルトマンを舞台にしたノン・フィクションとドキュメンタリーの要素が混交する、ちょっと風変わりなプライベート・フィルムです。

 常玉がパリに戻る際にフランクに残して去っていった作品は、半世紀の間にわたってフランクに所有された後、1998年に、中国人美術学生をサポートするイェール大学の「常玉奨学金(Sanyu Scholarship Fund)」の資金源となっています。

以下は、かつてロバート・フランクが所蔵していた常玉の作品の一部です。

常玉《金魚》1940年代 マティスの《金魚》よりも、浮遊感をかんじさせる一枚で、私の最も好きな常玉の作品一枚です


常玉《白い馬と黒い馬》1930年〜1945年(この作品に15年かかったと裏に描かれています。恋人を想い続けて描いた作品のようです。


常玉《虎嘯》1940年代。闇に吼える虎。このタイトルもカッコいいです

JUGEMテーマ:アート・デザイン


| にむらじゅんこ | パリ | 20:27 | comments(7) | - | pookmark |
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じゅんこさん、こんにちは。
近頃、私が住んでいる福岡からなにか‥‥と考えています。
私も絵を描いていますが、
もっと真剣に取り組まねばいけません。
でも、楽しく‥‥。
sanyuuはとてもすてきな方ですね。
ご紹介ありがとうございました。
また、楽しみにしています。
今年もどうぞよろしくお願いします。
| mine | 2009/01/04 11:52 PM |
mineさん、おひさしぶりです
こちらこそ、今年もよろしくお願いします
| junq | 2009/01/05 12:30 AM |
あ、アヴォカドは元気でしたっけ、そういえば!
| junq | 2009/01/05 12:33 AM |
はじめまして。以前偶然にこちらのブログを発見してから気に入ってたまに覗かせてもらっています。Sanyuさんのこと、全く知りませんでしたが、とてもいいですね。3枚ともすごくいいですが、虎のやつが一番好きです。いつか現物を見てみたいと思いました。
イェール大学の奨学金、ということであればどこか美術館を巡回したりするんでしょうね。うまく機会が合えばいいのですが。。
ともかく、いい作家さんをご紹介いただいてうれしくなりました。ありがとうございます!
| kishi | 2009/01/05 12:53 AM |
kishiさま、あけましておめでとうございます。
「虎嘯」、いい絵ですよね。常玉は人生の後半、絵が売れず(前半は割合とラッキーだったのですが)、結婚にも失敗し、孤独なパリ生活だったので、そうした彼の寄る辺なさが表象されているようにも感じられます。

残念ながら、常玉の本物の油絵は、たまにしか見れないのです。貧乏だったので正規の絵の具を使っておらず、ぼろぼろと剥がれ落ちがちで、常設できないのですって…。一度日本に来てほしいと願っていますが。
| junq | 2009/01/05 8:55 AM |
初めまして。
写真家のPaulo Nozolinoを調べているうちに、彼がRobert Frankの"San Yu"の撮影を手伝ったということを知りました。
そして更にこの映画のことを調べているうでぃにJunqさんのブログの記事に行き着きました。
とても興味深いお話を聞かせていただいたようで、うれしく思いました。
こちらの記事のリンクを私のブログに貼らせていただきたいと思います。
もし問題があるようでしたらコメントで結構ですので、お知らせいただきたいと思います。
| Yas | 2009/10/15 10:17 PM |
もんだいなんて、ないです。大歓迎です〜。
| junq | 2009/10/15 10:29 PM |









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